半導体レーザーの心臓部:PN接合を理解する

光電子技術の急速な発展に伴い、半導体レーザーは通信、医療機器、レーザー測距、産業用プロセス、民生用電子機器といった分野で幅広い応用が見られています。この技術の中核を成すのがPN接合です。PN接合は、発光源としてだけでなく、デバイスの動作基盤としても重要な役割を果たしています。この記事では、半導体レーザーにおけるPN接合の構造、原理、そして主要な機能について、簡潔かつ明瞭に解説します。

1. PN接合とは何ですか?

PN接合は、P型半導体とN型半導体の間に形成される界面です。

P 型半導体には、ホウ素 (B) などのアクセプタ不純物がドープされており、正孔が多数の電荷キャリアになります。

N 型半導体にはリン (P) などのドナー不純物がドープされており、電子が多数キャリアになります。

P型材料とN型材料を接触させると、N領域から電子がP領域へ拡散し、P領域から正孔がN領域へ拡散します。この拡散によって空乏領域が形成され、そこで電子と正孔が再結合して電荷イオンが残り、内部電界(いわゆる「内蔵電位障壁」)が形成されます。

2. レーザーにおけるPN接合の役割

(1)キャリア注入

レーザーが動作すると、PN接合は順方向バイアスされます。つまり、P領域は正電圧に、N領域は負電圧に接続されます。これにより内部電界が打ち消され、電子と正孔が接合部の活性領域に注入され、再結合する可能性が高くなります。

(2)光放出:誘導放出の起源

活性領域では、注入された電子と正孔が再結合し、光子を放出します。このプロセスは最初は自然放出ですが、光子密度が増加すると、光子がさらなる電子-正孔再結合を刺激し、同じ位相、方向、エネルギーを持つ追加の光子を放出します。これが誘導放出です。

このプロセスはレーザー(誘導放出による光増幅)の基礎を形成します。

(3)ゲインと共振空洞がレーザー出力を形成する

誘導放出を増幅するために、半導体レーザーはPN接合の両側に共振空洞を備えています。例えば端面発光レーザーでは、分布ブラッグ反射器(DBR)やミラーコーティングを用いて光を反射させることで、特定の波長の光のみを増幅し、最終的に高いコヒーレント性と指向性を持つレーザー出力を得ることができます。

3. PN接合構造と設計最適化

半導体レーザーの種類に応じて、PN構造は異なります。

シングルヘテロ接合(SH):
P領域、N領域、活性領域は同じ材料で作られています。再結合領域は広く、効率は低くなります。

ダブルヘテロ接合(DH):
より狭いバンドギャップの活性層がP領域とN領域の間に挟まれています。これによりキャリアと光子の両方が閉じ込められ、効率が大幅に向上します。

量子井戸構造:
極薄活性層を使用して量子閉じ込め効果を生み出し、閾値特性と変調速度を向上させます。

これらの構造はすべて、PN 接合領域におけるキャリアの注入、再結合、および発光の効率を高めるように設計されています。

4. 結論

PN接合はまさに半導体レーザーの「心臓部」です。順方向バイアス下でキャリアを注入する能力は、レーザー生成の基本的なトリガーです。構造設計、材料選択、光子制御に至るまで、レーザーデバイス全体の性能はPN接合の最適化にかかっています。

光電子工学技術が進歩するにつれ、PN 接合の物理に対する理解が深まることで、レーザーの性能が向上するだけでなく、次世代の高出力、高速、低コストの半導体レーザーの開発に向けた強固な基盤が築かれます。

PN结


投稿日時: 2025年5月28日